許認可手続きの総合情報館

医療法人設立

〇医療法人設立
医療法人制度
医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ、
これを設立することができません(医療法第44条第1項)

 

医療法人の設立申請ができる方
1.医師又は歯科医師である方
2. 欠格条項(法第46条の4第2項)に該当していない方
@成年被後見人又は被保佐人でない方
A医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過している方
B禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった方

 

医療法人のメリット
1.個人事業に比較して節税効果が期待できる
同じ売上に対し個人の場合は、超過累進課税と住民税の合計が最高50%
法人の場合は、法人税と法人住民税の合計は以下のようになり、かなり節税することができます
@出資金1億円以下の医療法人の場合、所得が800万円までは15%、年800万円を超える分の所得には25.5%
A出資金1億円を超える医療法人の場合は25.5%
2.社会的信用が向上する
3.事業展開の可能性が広がる

 

病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができると規定されております(法第39条第1項)

 

医療法人の種類
1.医療法人には,
医療法人社団と医療法人財団の2種類があります
2.社団医療法人は、複数の人が集まって設立される医療法人
3. 財団医療法人は、個人又は法人が無償で寄付する財産に基づいて設立される医療法人
実社会では、社団医療法人が全体の99%を占めておりますので、個人の医師が医療法人化する場合は、社団医療法人になるのが大多数と考えられます

 

東京都における医療法人の設立許可申請から登記までのスケジュールは以下のようになっております
1.設立要件のチェック

2.定款・ 寄付行為の作成

3.設立総会の開催

4.設立許可申請書の作成

5. 設立許可申請書の提出(仮申請)

6. 設立許可申請書の審査

7.設立許可申請書の本申請

8.医療審査会への諮諮問

9.答申

10.設立許可書交付

11.設立登記申請書の作成・申請

12.登記完了(法人成立)

 

〇上記記載の順に解説していきます(東京都の場合)
医療法人設立の要件
医療法人化するためには、人的要件、施設・ 設備要件、資産要件、その他の要件があり、これらの要件を満たすことができない場合は、医療法人化することはできません
1,人的要件(社員と役員)
社団たる医療法人は、社員総会、理事、理事会及び監事を置かなければならない
(法第46条の2第1項)
@社員を3名以上置く必要があります
A役員は理事は3名(理事長を含む)以上、監事を1名以上置く必要があります
(法第46条の2)
B役員欠格事由に該当しない者でなければならない (法第46条の2第2項)
C理事長は医師又は歯科医師でなければならない(法第46条の3)
D医療機関の管理者は必ず理事に加えなければならない(法第47条)
E法人の理事就任予定者や医療機関の職員は幹事に就任できない(法第48条)
2,施設・設備要件
医療法人を設立するためには、法人医療業務を行うために必要な施設・設備を有している必要があります
@少なくとも1箇所以上の病院、診療所、介護老人保健施設があること
A医療行為に必要な設備や 器具があること
3,資産要件
医療法人は、その業務を行うに必要な資産を有しなければなりません(医療法第41条第1項)
一般的には基金として法人に財産を拠出する方法を用います
財産は以下の2種類に分けられます
@基本財産→運営基金、不動産等の重要財産
A通常財産→基本財産以外の資産
保険診療収入が入金されるのは2ヶ月先になりますので、その間の運転資金として、設立当初2ヶ月分の運転資金が確保されている必要があります
4,その他の要件
既存の法人と同じ法人名を使用しないこと、誇大広告にならないような法人名であること等が要求されております

 

社員、理事、監事の決定
原則として医療法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません(法第46条の5第1項)1.社員
 3名以上
2.理事
 3名以上
3.監事
 1名以上
4.理事長 1名
理事のうち一人を理事長として、医師又は歯科医師である理事のうちから選出します(法第46条の6第1項)

 

定款の作成
医療法人を設立しようとする者は、定款又は寄附行為をもつて、少なくとも次に掲げる事項を定めなければならない(医療法第44条第2項)
一 目的
二 名称
三 その開設しようとする病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院(地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者として管理しようとする公の施設である病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を含む。)の名称及び開設場所
四 事務所の所在地
五 資産及び会計に関する規定
六 役員に関する規定
七 理事会に関する規定
八 社団たる医療法人にあつては、社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定
九 財団たる医療法人にあつては、評議員会及び評議員に関する規定
十 解散に関する規定
十一 定款又は寄附行為の変更に関する規定
十二 公告の方法

 

財産目録の作成
拠出する財産が決定しましたら、東京都が定める 基準日時点の評価額を算定し財産目録を作成します
法人設立後、2ヶ月分以上の運転資金に見合う現金・預金等の財産を拠出しなければなりません

 

事業計画及び収支予算の作成
準備するのは以下の書類です
1.事業計画書
2.予算書
3.予算明細書
4.予算給与費内訳書
5.実績表

 

設立総会の開催
医療法人を設立するためには、定款を定めてから、社員3名以上による設立総会を開催し、議事録に記載し(設立総会議事録)、設立認可申請書に添付しなければなりません
社員は、各一個の議決権を有する(法第46条の3の3第1項)
社員総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、決議をすることができない(法第46条の3の3第2
項)
社員総会の議事は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる(法第46条の3の3第3項)

 

設立総会で決議し、議事録に残しておくべき事項は以下のとおりです
1.開催日時、場所
2. 出席者の氏名、住所
3.設立時社員の確認
4.医療法人設立趣旨承認
5.定款承認
6.基金拠出申込み及び設立時の財産目録の承認
7.役員及び管理者選任
8.設立代表者選任
9.病院・診療所の土地、建物を賃借する場合の契約の承認
10.リース契約引継ぎの承認
11.会計年度、初年度の事業計画及び収支予算の承認
12.役員報酬総額の予定額の承認
13.その他の必要事項

 

設立認可申請書の作成、提出
医療法人設立認可申請は、まず最初に仮申請を行い、文言の修正や書類追加などの補正後、本申請に移行するという事前審査方式がとられております
仮申請後、指摘された箇所を修正しない場合、本申請に進むことにはできません

 

仮申請
本申請に必要な書類一式全てを揃えて提出します
この時点での申請書類への捺印は不要です
提出部数は1部です
提出書類
医療法人設立認可申請書
受付票

 

添付書類
1.定款(寄附行為)
2.設立総会議事録
3.財産目録
4.リース物件一覧表
5.リース契約書の写し
6.リース引継承認願
7.履歴書
8.印鑑登録証明書
9.委任状
10.役員
11.管理者就任承諾書
12.理事長医師免許証の写し
13.管理者医師免許証の写し
14.理事医師免許証の写し
15.診療所等の概要
16.施設等の概要
17.不動産賃貸借契約書の写し
18.事業計画書(2か年又は3か年)
19.予算書(2か年又は3か年)
20.実績表(2年分)
21.確定申告書(2年分)
22.診療所の開設届及び変更届の写し
(東京都、医療法人設立の手引き引用)

 

行政庁による仮申請書類の審査・補正指示
設立許可申請書を提出すると書類審査が行われます
また都道府県によって異なりますが、代表者の面談審査、実地審査などがある場合もあります

 

本申請書類の提出
医療法人設立の仮申請で提出した設立認可申請書は、提出後、東京都との事前協議により完成します
この完成した設立認可申請書に捺印をして提出することを本申請といいます
提出部数
正本と副本の2部(正本は東京都保存用、副本は許可書添付用)

 

医療審査会への諮問・答申
医療審議会による 審議が行われ、 医療法人の設立・ 解散の認可などを知事の諮問に応じて審議します

 

設立認可書の交付
医療審査会が、医療法人設立認可申請に対し調査審議した結果、認可に問題なしとの答申をすると、申請先の東京都から知事名で医療法人設立認可書が送付されます
医療審議会により 医療法人の設立が認可された場合は、設立許可書が交付されます

 

設立登記の申請
医療法人が 設立認可された場合は 、認可後2週間以内に、主たる事務所の所在地の
法務局へ設立登記申請をする必要があります(医療法第46条)
登記完了後、東京都に登記事項の届出をすることにより医療法人設立が完了したことになります
認可後、 法人設立登記を行うことにより、医療法人が誕生することになります

 

保健所への手続き
診療所を開設した場合は、管轄の保健所に対し開設許可申請を提出する必要があります
保健所の許可がないと診療を始めることができません
エックス 線装置を使用する診療所の場合は、エックス線装置備付届を、開設許可申請と一緒に提出します
提出書類
開設許可申請書
添付書類
1.定款の写し
2.法人の登記事項証明書
3.土地、建物の登記事項証明書
 賃貸の場合は契約書の写し
4.敷地、建物の平面図
5.敷地周囲の見取り図
6.案内図
7.エックス線使用の場合
 エックス線診療室放射線防護図
8.その他保健所から要求された書類

 

エックス線装置備付届
エックス線装置を使用する場合は、設置から10日以内に エックス線装置備付届を提出する必要があります (一般的には開設許可申請書と一緒に提出ます)
提出書類
エックス線装置備付届
添付書類
漏洩放射線測定結果報告書

 

立会検査
開設許可申請書類を提出した後に、保健所による立会検査があります
検査の結果、問題がなければ許可書が交付されます
許可書が交付されて、医療法人としての診療開始の許可が出たことになります

 

開設届
法人としての診療所運営が始まりましたら、診療所の開設後、10日以内に保健所に開設届を提出する必要があります

 

地方厚生局への手続き
保険医療機関指定申請
保険医療機関の指定を受ける場合は地方厚生局への申請が必要になります
指定終了後でなければ保険診療報酬を請求することができませんので、保険医療機関指定申請を早めに済ませておく必要があります
提出書類
保険医療機関指定申請書
添付書類
1.許可書及び開設許可申請書の写し
2.開設届の写し
3.保険医の氏名、登録記号、番号等

 

(東京都、医療法人設立の手引き参照)

 

根拠法令
医療法(昭和23年法律第205号)

 

 

 

 

 

 

 

 

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