許認可手続きの総合情報館

介護タクシー事業

〇介護タクシー
介護タクシーとは通称であり、正式な名称は一般乗用旅客自動車運送事業
(福祉輸送限定)です

 

一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません(道路運送法第4条 第1項)
業務の範囲を福祉輸送サービスに限定する営業許可を国から取得したタクシーを介護タクシーといいます
介護タクシーは、法人、個人を問わずに車両1台から始められ比較的に低資本で開業することができます
介護タクシー事業は、大手が参入しにくく、ドライバーにリピーターがつく可能性が高く、予約制の為ランニングコストが安い等で、未経験者でも新規参入がしやすい安定した収入が見込める事業です

 

この介護タクシーには2つの種類(介護タクシー、介護保険タクシー)があります
1.介護タクシーとは、介護認定を受けている方や、障害者の方の送迎サービスを行うタクシーをいいます
利用者への介助は行いませんので、介護職員初任者研修の資格は必要ありません
利用者への介助は行いませんので、介護保険の対象外になっております

 

2.介護保険タクシーとは、利用者への介助を行うことができます
そのために、介護職員初任者研修の資格が必須条件になっております
サービス料金には、介護保険が適用されます
介護保険タクシーとは訪問介護のサービスのひとつですので、訪問介護事業所を設立し国から介護保険事業所に指定される必要があります
介護保険事業所に指定されますと、国から介護保険の適用を受けられます
訪問介護事業所を設立する場合、営利法人と非営利法人のどちらかの法人を設立する必要があります

 

本講座では一般乗用旅客自動車運送事業のうち、介護タクシー(福祉輸送サービス)に限定して解説していきます

 

介護タクシーを開業するまでの流れは以下のようになります
1.許可要件の確認

2.運輸支局へ許可申請書を提出

3.法令試験及び事情聴取の実施

4.審査基準に基づく審査

5.許可処分

6. 許可証の交付

7.登録免許税の納付

8.運賃・約款の許可申請 、処分

9.介護タクシーに使う車両の検査・登録

10.管轄運輸支局へ運輸開始届の提出
介護タクシー事業を開始したら、管轄運輸支局に運輸開始届を提出します

 

届出が受理されて、介護タクシー開業までの全ての手続きが完了したことになります
以下この順序に従って解説していきます

 

1.許可要件の確認
一般乗用旅客自動車運送事業の許可には、道路運送法第6条の許可基準並びに同許可基準を具体化した各地方運輸局にて公示している「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く)の許可申請の審査基準について」(公示基準)の要件に適合していることが必要です
公示基準には人的要件、設備要件、基本的要件等がありますが、全ての要件を満たしている必要があります
介護タクシーを開業するために必要な要件は、各地方運輸局により多少相違はありますが一般的には以下のような要件が必要とされております
@営業区域
原則として営業区域は都道府県単位になります
A営業所
営業所は必ず営業区域内にあり、土地建物について3年以上の使用権限を有しており、その営業所は農地法、土地計画法、建築基準法等の法令に抵触していないものであることが必要です
B事業用自動車
申請者が事業用自動車の使用権原を有することとされ、リースの場合は1年以上の契約期間が必要になり、車両には営業区域等の表示をする必要があります
C最低車両数
介護タクシーの場合は1台から事業を行うことが可能です
D自動車車庫
@原則として営業所に併設するものであることが必要ですが、併設できない場合は営業所から直線で2 km 以内の営業区域にあって営業管理をはじめとする管理が十分可能であれば許可されます
U車庫と車庫との境界、車両と車両の間隔をそれぞれ50 cm確保して、使用する自動車全てが収容できる広さが必要です
V申請者が土地、建物について3年以上の使用権原を有すること
E休憩、仮眠又は睡眠のための施設
@原則として営業所又は自動車車庫に併設する必要がありますが、併設できない場合は営業所及び自動車車庫の両方から2km 以内の場所に設置する必要があります
U申請者が3年以上の使用権限があること、農地法その他関係法令に抵触しないことが必要とされます
F管理運営体制
@法人の場合は、役員のうち1名がこの事業に専従する必要があり、専従する役員のうち1名は法令試験に合格した者である必要があります
U営業所ごとに、配置する事業用自動車の数により義務付けられる常勤の有資格の運行管理者を置く必要があり(事業用車両4両までは無資格可)、整備管理者も同様です
V車庫が営業所に併設されていない場合は、営業所と車庫が常時密接に連絡できる体制がとられている必要があります
G運転者
事業用自動車の数に応じた2種免許を持っている運転者を常時選任する計画があることが必要です
H資金計画
「事業開始当初に要する資金」と「所要資金」を定められた費目ごとの基準に従い計上して見積もり、事業当初に要する資金の100%以上、かつ所要資金の50%以上の自己資金を常時確保しておく必要があります
I法令遵守
@役員の法令知識
個人の場合申請者本人、法人の場合介護タクシー事業の担当役員が介護タクシー事業を行うのに必要な法令の知識を有することが必要とされております
U社会保険の加入
健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険等の社会保険には全て加入していなければなりません
V欠格要件(道路運送法第7条)に該当しないこと
申請者と法人の場合は役員全員が道路運送法7条に該当しないことが必要です
W関係法令による処分歴等がないこと
J損害賠償能力
計画車両全てが、任意保険又は共済保険に加入する計画があること
K適用
@福祉輸送サービスの対象となる旅客
福祉輸送サービスの対象となる資格は、以下に掲げるもの及びその付添人に限ります
ア.身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
イ.介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
ウ.介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
エ.肢体不自由、知的障害、精神障害等により単独での移動が困難な者であって公共交通機関を利用することが困難な者
オ.消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による輸送サービスの提供を受ける患者
U福祉輸送サービスに使用する車両
福祉輸送サービスに使用する車両は以下に掲げる自動車とする
ア.道路運送法施行規則第51条の3第1項第8号に規定する福祉自動車
イ.セダン型等の一般車両を使用する場合は、介護福祉士若しくは訪問介護員若しくは居宅介護従業者の資格を有する者又は社団法人全国 ケア輸送サービス従業者研修を修了した者が乗務する自動車

 

以上の要件を満たしている場合は、 申請許可が可能ですので申請手続きを行います

 

2.運輸支局へ許可申請書を提出
提出先→営業所の所在地を管轄する運輸支局
提出部数は3部(うち2部はコピー可)
(運輸局長あて、運輸支局長あて、申請書控え)
提出書類
一般乗用旅客自動車運送事業許可申請書
申請書の別紙として事業計画
添付書類
添付書類は各運輸支局により多少異なりますが、法律上は以下の書類を要求しております
法律上要求されている添付書類以外に、担当者から要求があった場合は至急準備して提出してください
道路運送法施行規則第6条(申請書に添付する書類)
(申請書に添付する書類)
第六条 法第五条第二項の書類は、次に掲げるものとする。
一 事業用自動車の運行管理の体制を記載した書面
二 事業の開始に要する資金及びその調達方法を記載した書面
三 事業用自動車の乗務員の休憩、仮眠又は睡眠のための施設の概要を記載した書面
四 事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するための措置を講じていることを証する書類
五 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者にあつては、次に掲げる事項に関し、輸送の安全を確保するために、その者が行う投資の内容を定めた計画(以下「安全投資計画」という。)を記載した書類
イ 輸送に係る安全管理体制の確保に関する事項
ロ 事業用自動車の取得並びに点検及び整備に関する事項
ハ その他投資の内容として必要な事項
六 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者にあつては、安全投資計画に従つて事業を遂行することについて十分な経理的基礎を有することを証する事業収支見積を記載した書類
七 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者であつて、その事業用自動車を当該許可を受けようとする者に限つて運転しようとするものにあつては、その旨を記載した書面
八 既存の法人にあつては、次に掲げる書類
イ 定款又は寄附行為及び登記事項証明書
ロ 最近の事業年度における貸借対照表
ハ 役員又は社員の名簿及び履歴書
九 法人を設立しようとするものにあつては、次に掲げる書類
イ 定款(会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項及びその準用規定により認証を必要とする場合には、認証のある定款)又は寄附行為の謄本
ロ 発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
ハ 設立しようとする法人が株式会社であるときは、株式の引受けの状況及び見込みを記載した書類
十 法人格なき組合にあつては、次に掲げる書類
イ 組合契約書の写し
ロ 組合員の資産目録
ハ 組合員の履歴書
十一 個人にあつては、次に掲げる書類
イ 資産目録
ロ 戸籍抄本
ハ 履歴書
十二 法第七条各号のいずれにも該当しない旨を証する書類

 

3.法令試験及び事情聴取の実施
申請書を受理した日以降、約1週間後、実施日時、場所等を申請者あてに通知されます
法令試験は、道路運送法等に関する問題が30問出題され、24問以上(80%以上)正解しなければ合格することができません

関東地方(東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、埼玉県、群馬県、栃木県)+山梨県は法令試験が免除されております(2022年12月確認)
今後変更があるかもしれませんので、申請する時点に申請する運輸支局に確認してください

 

4.審査基準に基づく審査
審査は公示基準に基づいて行われ、基準に適合していない場合は却下されます

 

5.許可処分
許可証が交付されるまでの期間は約2ヶ月程度かかります

 

6.許可証の交付
申請書類に問題がなければ、許可書が、申請書を提出した運輸支局で交付されます

 

7.登録免許税の納付
許可書の交付後、登録免許税3万円を指定された期間までに納付する必要があります

 

8.運賃・約款の許可申請 、処分
審査は公示基準に基づいて行われ、基準に適合しない場合は却下の対象になります

 

9.介護タクシーに使う車両の検査・登録
車両の検査を受けて登録し、緑ナンバーに変更されます

 

10.管轄運輸支局へ運輸開始届の提出
介護タクシー事業を開始したら、管轄運輸支局に運輸開始届を提出します
届出が受理されて、介護タクシー開業までの全ての手続きが完了したことになります

 

(関東運輸局 一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書作成の手引き参照)
(中部運輸局 一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)経営許可申請書作成の手引き参照)
根拠法令
道路運送法
(昭和26年法律第183号)

 

 

 

 

 

 

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