許認可手続きの総合情報館

帰化

〇帰化
帰化とは、日本国籍を持っていない外国人が、帰化許可申請を行い、法務大臣の許可を受けることによって、日本国籍を取得することをいいます(国籍法第4条)
帰化することを願い出ることを帰化許可申請といいます

 

帰化許可申請手続きは以下のような流れになります
1.住所地を管轄する法務局、地方法務局又はその支局で相談
帰化許可申請で大切なことは、管轄が入国管理局ではなく、法務局の管轄になることです
法務局に行く前に必ず予約を取り、法務局の担当者と面談することから始まります
法務局の担当者と面談することにより、申請者が帰化許可申請の要件を満たしているかどうかを確認することができます
面談の際に、帰化の要件を満たしている場合、申請に必要な書類が指示されます
2.提出書類の収集
3.提出書類の作成
提出書類は官公庁から取り寄せるものばかりではなく、自分で作成しなければならないものもあります
4.住所地を管轄する法務局、地方法務局又は支局に申請
5.書類の点検、受付
6.審査開始
7.担当者と申請人本人間の面接
追加提出書類を請求された場合は補完
8.法務大臣(法務省)へ書類を送付し審査開始
9.法務大臣の決裁(許可又は不許可)
10.官報に告示(許可された場合)
11.法務局から本人へ通知
12.帰化許可後の手続き
(帰化届の提出、在留カードの返納)

 

国籍法における帰化には3種類あります
1.普通帰化(国籍法第5条)
普通帰化の対象になる外国人は一般的な外国人です
両親が外国人である人に多く当てはまるケースです
2.簡易(特別)帰化(国籍法第6条、第7条、第8条)
申請者の環境により、普通帰化よりも条件が緩和される帰化です
3.大帰化(国籍法第9条)
日本に対して功績のあった外国人に対して、法務大臣が国会の承認を得て、特別に許可される帰化です
現在まで許可された前例はありません

 

普通帰化
普通帰化の条件は,
住居要件、能力要件、素行要件、生計要件、喪失要件、思想要件、日本語能力要件
の7つがあります
1.住所要件
引き続き5年以上日本に住所を有すること(国籍法第5条第1項第1号)
@居住年数
継続して5年以上日本に住所を有している必要があります
通算で5年は認められません
A日本での就労経験
日本に住んでいる期間のうち、3年以上の就労経験があること
就労ビザを取って3年間以上働いている必要があります (アルバイトではだめです)
2.能力要件
18歳以上で本国法によって行為能力を有すること(国籍法第5条第1項第2号)
3.素行要件
素行が善良であること(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良で、真面目な人であるかどうかが問われます
具体的には税金、年金、犯罪歴が問題になります
@税金
所得税、住民税等が納付されている必要があります
A年金(国民年金、厚生年金)を払っていない場合は、帰化が認められないといわれておりますので、年金も納付しておく必要があります
B犯罪歴
前科がないことと、あった場合は刑を終えて相当年数を経過していることが必要とされております(軽微な場合で、裁判等になっていなければ大丈夫です)
交通違反の場合は過去5年間の交通違反歴が問題になります
軽微な交通違反(駐車禁止違反等)は数回違反しても問題ありませんが、飲酒運転等のような重大な交通違反の場合は、相当の年数が経過していないと帰化は難しいといわれております
4.生計要件
自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること(国籍法第5条第1項第4号)
日本で生活していくために十分な収入があるかどうかということが問題になります
一人で暮らしていく場合は、自分一人で暮らしていけるだけの収入、家庭を持っている場合であれば、家族が生活していけるだけの安定した収入が必要になります
5.喪失要件
国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと(国籍法第5条第1項第5号)
日本は二重国籍を認めておりませんので、日本に帰化したら、元の国籍を喪失又は離脱することができることが要件になっております
(国によっては、兵役義務がある場合、兵役義務が終わらないと他の国に帰化できないという国もあります)
6.思想要件
日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと(国籍法第5条第1項第6号)
日本国憲法や日本政府を破壊しようとする思想を持っている人は日本に帰化することができません
7.日本語能力
国籍法に条文として規定されておりませんが、帰化の際には日本の能力がある程度必要になります
基準はありませんが、担当官によれば小学校3年生以上の日本語能力が一応基準になっているようです

 

簡易帰化
簡易帰化は一定の条件がある場合、普通帰化の7つの要件が緩和された形で申請を行うことができる帰化をいいます
日本に生まれた人や、日本人と結婚した人が行うことができる帰化申請です
簡易帰化(特別帰化)の9つの要件
1.日本国民であつた者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
この要件に該当する場合は,
普通帰化の住所要件(引き続き5年以上)が緩和され、引き続き3年以上日本に住んでおれば住所要件を満たすことになります(住所要件の緩和)
2.日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
日本で生まれた外国人や、両親のいずれかが日本で生まれた場合は、 緩和された住所要件で帰化申請を行うことができます(住所要件の緩和)
3.引き続き10年以上日本に居所を有する者
一般の外国人の方でも、10年以上日本に住んでいる場合は、普通帰化の住所要件は3年以上の就労経験が必要ですが、1年以上の就労経験で要件を満たすということになります (住所要件の緩和)
4.日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者(法務大臣は、その者が第5条第1項第1号及び第号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる)
日本人と結婚した外国籍の人で、日本に住んでいる人が当てはまります
日本に引き続き3年以上住んでいる外国籍の人であれば、日本人と結婚した時点でこの要件を満たすことになります
3年以上住んでいる場合は、20歳未満でも帰化申請を行うことができます
(住所要件の緩和、能力要件の緩和)
5.日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する者
日本人と結婚して海外で生活していた外国籍の人が、夫婦で来日して日本で結婚生活を始めた場合などが該当します
この要件に当てはまる場合は、住所要件(1年以上は日本に住んでいる必要がある)と能力要件は緩和されることになります(住所要件の緩和、能力要件の緩和)
6.日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者
両親だけが先に帰化して日本国籍を取り、その後子供が帰化する場合や、 日本人の子供であるが日本国籍を選ばなかった人が、のちに帰化する場合この要件に当てはまります
日本人の子供なので緩和される用件が多くなっております (住所要件の緩和、能力要件の緩和、生計要件の緩和)
7.日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組の時本国法により未成年であつた者
未成年の時に、親の再婚などにより連れ子として、来日した外国人で、来日の時に義理の父又は母と養子縁組をしたような場合がこの要件に当てはまります
引き続き1年以上日本に住み、養子縁組時にも未成年であればこの要件を満たすことになります(住所要件の緩和、能力要件の緩和、生計要件の緩和)
8.日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く)で日本に住所を有する者
外国籍になった日本人が、再度日本国籍に戻るような場合がこの要件に該当します
(住所要件の緩和、能力要件の緩和、生計要件の緩和)
9.日本で生まれ、かつ出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者
出生地主義を採用している国の国籍を持つ両親により、日本で生まれた子供がこの要件に該当します(住所要件の緩和、能力要件の緩和、生計要件の緩和)

 

申請手続き
提出する書類と、書類の順番は次のようにするように法務省発行の「帰化許可申請のてびき」に記載されております
提出する書類は必要書類一覧表の通りですが、人によっては提出する書類が異なりますので、 法務省の担当官の指示に従ってください (人によっては書類が30種類ぐらいになる場合もあります)

 

1.帰化許可申請書(2通とも写真貼付)
2.親族の概要を記載した書面
3.履歴書
4.帰化の動機書
5.宣誓書
6.国籍・身分関係を証する書面(国籍証明書、本国の戸(除)籍謄本、旅券(パスポート)の写し等)
7.居住歴を証する書面(住民票の写し、戸籍の附票の写し)
8.生計の概要を記載した書面
9.事業の概要を記載した書面
10.在勤及び給与証明書
11.卒業証明書、在学証明書
12.源泉徴収票、課税証明書、納税証明書
13.確定申告書の控え、決算報告書、許認可書等の写し
14.公的年金保険料の納付証明書(ねんきん定期便、年金保険料の領収書等)
15.運転記録証明書(又は運転免許経歴書)
16.技能、 資格を証する書面(運転免許証の写し)
17.自宅、勤務先、 事務所付近の略図
18.その他
 法務省の担当官から指示された書類(できるだけ早く提出してください)
              (法務省発行の帰化申請許可のてびき参照)

 

提出にあたっての注意点
1.書類の提出部数
書類は原則として正本と副本の2部を提出します
2.書類の提出先
帰化許可申請書類は、申請者の住所地を管轄する法務局・地方法務局の国籍課
又は戸籍課に提出します
3.本人出頭が原則
帰化許可申請書類は、15歳以上の申請者本人が各法務局に出頭し提出することになっております(本人出頭主義)
15歳未満の申請者は原則として法務局に出頭する必要はなく、申請は法定代理人に委ねることになります
本人申請でなくてもよい15歳未満の申請者でも、代理申請できるのは法定代理人に限ります
行政書士、司法書士、弁護士等の法律家による代理申請は認められておりません

 

提出日の手順
必要書類が整いましたら、法務局の担当官と面談の予約をする必要があります
地方法務局や支局の場合は2〜3週間待たされることがあります
面談日に、行政書士等に付き添ってもらってもかまいませんが、許可がないと本人以外は面接室には入ることができません
担当官は出頭した本人に対しいろいろな質問をしますが、真摯な態度で返答すれば問題はありません(虚偽は厳禁です)

 

帰化許可申請の手数料
無料です

 

許可通知
1.帰化が許可されますと官報に掲載されます
2.官報に掲載後、法務局から呼び出しがあり、 法務局長より身分証明書が交付されます

 

帰化許可後の手続き
1.帰化後14日以内に、 在留カードを入国管理局に返納する必要があります
2.帰化後1ヶ月以内に、 帰化者の身分証明書を添付して、帰化届を市区町村長
(戸籍係)に提出する必要があります

 

帰化申請の許可率
法務省民事局の資料によりますと、80%〜90%といわれております
法務省担当官の指示に従い書類を作成すれば、誰でも帰化することができます

 

根拠法令
国籍法(昭和25年法律第147号)

 

 

 

 

 

 

 

 

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